相続放棄と自動車の処分について

文責:所長 弁護士 武田彰弘

最終更新日:2021年03月25日

1 自動車は原則処分してはいけない

 亡くなった方(被相続人といいます)が所有していた自動車は、原則、廃車をしてしまうと、相続放棄ができなくなる可能性があります。

 遺産を処分してしまうと、相続をしたことと認められるためです。

 そのため、自動車は、たとえ型落ちで価値がないとしても、廃車処分しない方が一番安全です。

 なお、通常、ディーラー経由で自動車ローンを組んでいる場合は、完済するまで所有権は、ディーラー側にあります。

 そのため、所有権が被相続人にはありませんので、ディーラーに連絡をして自動車を引き上げてもらうことができます。

 その場合、引き取ってもらった後に、ディーラーが廃車をしても、相続放棄には影響がありません。

2 処分する場合は相続財産管理人を立てる

 被相続人所有の自動車を廃車にするためには、次の相続人が代わりに行うか、もしくは、相続人全員が相続放棄をした後に、相続財産管理人を選任し、廃車を行ってもらう必要があります。

 相続財産管理人を選任する場合は、裁判所に50万円から100万円程度を納める必要があります。

 また、相続財産管理人の選任を専門家に依頼する場合は、10万円から20万円程度の費用がかかります。

 そのため、実際、相続財産管理人を選任してまで、廃車をする方はほとんどいません。

3 実際どう対応すればいいの?

 実際、多くの方が被相続人の自動車の処分に困っているのが現状です。

 また、価値がない自動車を廃車した場合であっても、相続放棄ができなくなるのかについては、実務上も裁判上も固まっていません。

 もっとも、基本的な考え方として、被相続人のものであっても、価値のないものであれば処分しても問題ないと考えられております。

 そのため、どうしても廃車を行いたい場合は、相続放棄が裁判所に認められた後に、自動車の価値がないことの査定をとって、廃車することが可能です。

 しかし、この方法であっても、リスクが少ないというだけであって、確実に相続放棄に問題ないとは言い切れません。

4 困った時はすぐに専門家にご相談を!

 このように、自動車を廃車するだけであっても、非常に面倒な手続きを要求されます。

 また、相続放棄については、「やっていいこと」と「やってはよくないこと(相続放棄ができなくなること)」が明確に区別されていないのが現状です。

 本来、「やってはいけないこと」をやってしまい、相続放棄が認められなくなる可能性もありますので、判断に迷ったときは、弁護士にご相談ください。

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